インフルエンザの10倍近い感染力を持つといわれているはしか(麻疹)。そのため日本各地で集団感染が相次いでいます。
大人がはしかにかかるとどうなるのでしょう。また妊婦に感染するとどのような危険があるのでしょうか。
はしか(麻疹)はどんな病気?
はしかは感染力が強い上に、免疫をもたない人が感染するとほぼ100%発症します。大人が発症すると子どもに比べ重症化しやすいと言われており、重症化すると肺炎、脳炎等の合併症を引き起こし、最悪の場合死亡することもあります。
なぜ今大人が発症するのか
1990年4月2日以前に生まれた人は、現在定期接種として定められている2回のワクチンの内、1回しか受けていない人が2~3割います。20代後半~30代の人は自分の母子手帳をチェックするか、抗体検査を受けてみることをおすすめします。
大人のはしかの症状は
初期(カタル期)
麻疹ウィルスを感染すると、10日前後の潜伏期間を経て、まず風邪のような症状が出ます。症状は38~39℃の発熱、くしゃみ、咳、鼻水、目の充血、めやになど。初期の症状がこのように風邪とよく似ているため、病院に行っても風邪と間違えられることも多いそうです。
発熱から3~5日たつと、口腔粘膜にコプリック班と呼ばれる白い小さな斑点が出てきます。ここにきてやっと風邪との区別がついてきます。
発疹期
初期の発熱が一旦下がり、再び40℃近くの高熱が出ます。それとともに全身に赤い小さな発疹が広がります。
回復期
高熱は4日ほどで下がり、発疹は10日前後で消えていきます。
妊婦がはしかにかかったら?お腹の赤ちゃんへの影響は
妊娠期間中に感染しても、風疹とは違い、お腹の赤ちゃんに先天奇形の増加はないと言われています。しかし「早産」「流産」のリスクが30%程度高くるため、注意が必要です。
また分娩直前、直後に母体が発症した場合、先天性麻疹になる可能性があります。そのため分娩直前に発症が発覚した場合、分娩を遅らせるなどして、これを回避することがあります。
はしかの予防法は
麻疹ウィルスは飛沫核の状態で空中を浮遊することができるため、マスクでは予防しきれません。予防接種が唯一の予防方法だといえます。
大人で予防接種を1回しか受けていない人や、抗体検査で免疫が不十分である人はワクチンを接種した方が良いでしょう。
子どもの時にはしかに罹ったことのある人は免疫がついているため、必要ないそうです。
ただし、生ワクチンであるため、妊娠期間中は接種することができません。また、胎児への影響を避けるため、接種後2カ月の避妊を必要とします。
昭和生まれの方は必要に応じ、抗体検査を受け、早めにワクチンを接種し、免疫を獲得する事が集団感染から身を守るためには重要です。